イイコトワルイコト

ある二人が別れた。
女の子は悲しくて少し荒れていた。
ある二人がくっついた。
女の子はうれしくてたくさんしゃべった。
僕はその両方を見比べる。
肩の荷が下りた気がするのはなぜだろう。　
少し寂しく、とてもうれしい。

無題

 僕は今ルアーを削り倒している。
　僕の思いがごんごん形になっていく。
　物を作ることとは、自分を表現することだと今までずっと思っていた。
　物を作らないやつは自分のないやつか、生きることを大切にしていないやつだとずっと思っていた。
　しかし、最近僕は気が付いた。
　作ったものから自分がにじみでるんだと。作りたいものを作りたい時に作ればそれから自然に出て来るんだと。
　僕は今、やっと僕を作り始めた気がしている。
　

いい景色

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　














店を閉め、工房に寄った。
高いところから昇ってくる朝日を見たかったのだ。
あいにくの雨空のため、それを見ることはできなかったのだが、3台並んだ小さなバイクがとてもよかった。
何でだか僕にはかけがえのない景色に思えた。　

次の朝、買出しの途中、散歩する馬を見た。
曳き綱で馬が散歩していたのだ。子供のころ，田舎ではたまにあった風景なのだが，今，東京で見られるとは思わなかった。

いい景色を見た、大事な瞬間だったのだと思う。
小さな喜びを拾い集めて、明日に進もう。
二日酔いなんかに負けず、頑張るぞー。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

無題

  釣りから帰り、アトリエによる。
　つむはごりごりルアーを削っていた。
　僕はウェイダーを干し、いったん家に帰り出直す。
　もくもくと二人でルアーを削り、休憩のために隣の居酒屋に行く。
　’蘭’
　僕の仲間たちも最近通っているらしく、気になっていた店だ。
　韓国生まれの中国人の奥さんとマスターでやっている店。
　メニューはたくさんあり、頼んだものはどれもうまく、二人とも人懐っこく、飲みやすいいい店だった。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　僕は多分、ここに通うことになる。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

のんだくれの毎日

  　　　　　　　　　　　　　　　　　　　








　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　夏の高原のような陽気だ。
　店の買出しの途中、ぼくはこのまま遠くに行ってしまいたくなる。
　毎日料理を作り、お客さんから頂いた酒を飲み続ける。
　日が暮れると涼しい風が吹き、星がまたたく。
　一気に酔いがさめ、焚き火の匂いがどこからか漂ってくる。
　ため息をひとつつき、ぼくはそのイメージを追い払う。
　明日は休みだ、川の中を歩き、つかの間の自由を味わうのだ。