ハンドメイドルアー専門店
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2009 3/5 僕の今シーズンが開幕した。
久しぶりに東京でもまとまった雪が降り、真っ白な中央道を桂川に向かう。
今回は、お客さんの河井さんにガイドをしてもらう。
初めての渓流、雪で真っ白、早春、新作ルアーのお披露目。
釣れる気がしない。
「まだ三月あたまだもんね。」
「いいのが一本出ればいいよね。」
「この雪だしね。」
反応が無いまましばらく釣りのぼる。
ある淵で、河井さんがヤマメを見つけた。
群れでルアーを追ってきたらしい。
どうやら放流ポイントで、解禁以降、あまりルアーを見ていないらしく、
集団でヤマメが追っかけてくる。
ルアーをトッカエヒッカエし二人で遊ぶ。
「放流魚いじめはやめて年越しを釣ろうか。」
「それがいいですね。」
上流に移動。
河井さんのポイントを何箇所も教えてもらいながら上に進む。
この人は地元のように熟知しており、狭い道でもでこぼこ道でもゴンゴン突っ込む。
「ここはでかいのがつく所。」
「ここは有名になったところ。」
「ここは最盛期に来るところ。」
凄い情報量だ。
すべて足で探したところらしい。
アリガタイアリガタイ。
午後になり、山も雪はすべて溶けきり、僕達は汗ばむ。
今日最後のポイント。
岩の点在する深めの瀬。
水はありえないほど温かく、さっきまで雪で真っ白だったとは思えない。
河井さんは僕の目の前でいきなり25cmほどの年越しを釣る。
今日二本目の越冬やまめだ。
僕は彼に指示されたポイントにルアーをほうる。
魚は追ってくるのだがなかなかかけられない。
へたくそなのだ。
対岸は切り立った岩盤でその下にでかいのが付くポイント。
水中に岩がひとつあり、その横で絞られた流れにヤマメがいる。
僕には見えないのだが、河井さんには丸見えらしい。
「ふじおくん、でかいのがいるよ。」
「どこ?」
「ほら、そこだよ。」
「?」
何回かルアーを通し、やっと僕にもその魚が見えた。
でかい、銀色、ヤマメだ。
僕にもやっとスイッチが入る。
流す先は、ほんの数センチ。
ラインは一本だけ。
何度もミスし、時間をあけ、入魂の一投。
直径二センチの投下点にルアーは吸い込まれ、理想のラインを流れる。
魚の待つところの直前でターンが始まる。
水中で銀色がひらめく。
リールは止まり、強い衝撃が竿から伝わる。
テーパー&シェイプのグラス竿が手元からしなる。
「尺だ、尺だ。」 の声を聞きながら僕はローリングを味わう。
河井さんにランディングしてもらい、僕は立ちすくむ。
ジャスト30センチの越冬ヤマメ。
写真を撮り、川に戻す。
僕ひとりでは釣れない魚。
始めて人にすくってもらったヤマメ。
解禁直後、雪の日の初めての川。
出来すぎの一日。
すべて河井さんのおかげだ。
その後、年越しのヤマメ、アマゴを数本ずつ釣り、雨の降り始めた川から上がる。
いい一日だった、最高の幕開けだ。
河井さん、ありがとうございました、またいい釣りをしましょう。
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