怪我の理由

　青梅マラソンにエントリーしていたお客さんが怪我のために出場を断念した。

　そもそも忙しい毎日をおくっており、練習をする時間もそれほど無く、体力づくりもずーっとしていないらしく、正直少しほっとしてしまった。死ぬ恐れがあったのだ。しかし、せっかくのチャレンジをすんなりあきらめることを見逃すほど僕は甘くないのだ。

　｢お前逃げてんのか、理由をはっきり述べてみよ！｣

　｢いえ、いえ、ちょっと肺に穴があきまして。｣

　「はぁ？」

　｢気胸といいまして、激しい運動をするとたまになるらしいんだよね。」

　｢お前、激しい運動なんかしてねーやろ。｣

　｢それがシェイカーを振ってましてですね。｣

　カクテルを作る練習をしていた折に、メリハリを付けるために少し激しく振ってみたところ、左の胸に激痛が走ったらしいのだ。診察をした医者も笑いをこらえるのがさぞや大変だったろう。

　今年の僕の新年の決意は”筋トレ”だ。

　頑張って、恥ずかしくない人生を送るぞ。