必要なもの

滝の飛沫にあたりたい、花の写真を撮りたい、尾根を歩きたい、きれいな魚を釣りたい、あの子に会いたい。

全て欲望だ。

全て必要なものだ。

全てが手にはいるわけはない。

なるべく全部が手に入れられるように詰めていくのが人生なのだと最近気が付いた。

大変だぞ。

がんばろう。

奥只見 最終日

４時半起床。

今日で終わりだ。

最後の焚き火をおこし釣りに行く。

空は高曇りで朝日は望めない。

岩魚を釣りテン場に戻る。

昨日の残り物を温め腹をつくる。

おおかわは石を削りヤジリを作っている。

僕はテントをたたみこのあとを考える。

みんなしぶしぶ片づけ、最後の釣りに行く。

僕は何故か集中できず、岩の上でたばこを吸う。

終わりだ。

ヒラタケを見つけ、丁寧にとりその場を後にする。

いいキャンプだった。

桜鱒は釣れなかったが新しい仲間が出来た。

最高の３日間だった。

少し成長できた、少し前に進めた、穴がうまった。

おおかわ、つむ、また行こう、次は雪山だ。

奥只見２日目

おおかわの子犬のようないびきで３時半にテントを出る。
コーヒーを沸かし、ジャックを多めにたらし朝日を待つ。
いよいよその時が来た。

昨日から今日、夜から朝、闇から光。
僕は深いため息をつき、空を見続ける。

明るくなり、少し集中した釣りをし、キノコをとり、今日を楽しむ。
暗くなり焚き火の周りに座り込み酒をのむ。
おおかわは料理に腕をふるい、お母さんのように気をつかう。

いいやつだ。

空は満天の星空で真ん中を天の川が横切る。

僕は少しだけ泣く。

桜鱒はまだ釣れないが最高の１日だった。

明日は何が待っているのだろう。

楽しみだ。

奥只見 １日目

キャンプだ、やっとその日が来た。

サンゴットおおかわをひろい高速道路に飛び乗り一直線に新潟に入り奥只見に向かう。

山小屋で漁券をかいいつもの河原にテントを張る。

大きめのタープのまわりにソロテントが３つ並びいい景色が出来上がる。

昨日まで増水していた川はいい色に落ち着きさっそく釣りをする。

所々から岩魚が顔を出すがハリにはかからない。

しかし僕はどんどん落ち着いていく。
暗くなり、焚き火をおこし、肉を焼き、おおかわが作ったポトフを食い酒によい、テントで寝る。
下界のよしなしごとが遠くなってゆく。
僕の気持ちが戻ってくる。

キャンプはいいな。

リセット

明日から３日間、石川屋に僕はいない。

釣りキャンプに行ってくるのだ。

これでやっとこの切迫感がぬけることだろう。

綺麗な水の中から魚を釣り、焚き火と星を交互に眺め、リセットされるのだ。
僕が元に戻る。

やり直す。

再出発だ。

待ってろよ。